くつろぎたい部屋はオレンジがかった「電球色」、作業や身支度をする場所は白っぽい「昼白色」が目安と言われています。同じ部屋でも、明かりの色ひとつで気分の切り替わり方は変わります。この記事では、その理由と部屋別の使い分けを、長野県佐久市の工務店・長野住環境企画がやさしく整理します。
この記事でわかること
- 照明の「色温度」とは何か(電球色・昼白色のちがい)
- 明かりの色が気分や眠りに影響すると言われる理由
- 部屋ごとの明かりの色の目安と、「調光・調色」という選択肢
同じ夜なのに、コンビニと喫茶店で気分が違うのはなぜ?
夜、コンビニに入ると、店内は白くて均一な明かりでパッと目が覚めるような感覚になります。一方、喫茶店や居酒屋の照明はオレンジがかっていて、なんとなく肩の力が抜けて長居したくなる——そんな経験はありませんか?
売っているものや内装の違いもありますが、大きく効いているのが「明かりの色」だと言われています。白い光は頭を活動モードに、暖かい光はくつろぎモードに切り替えるスイッチのような働きをする、と考えられているのです。
住まいの照明も同じです。「とりあえず明るければいい」で選んでしまうと、くつろぎたいリビングが”夜のコンビニ”のようになってしまうことも。この記事では、難しい照明理論ではなく、暮らしに役立つ「光と心理」の関係を整理してみます。
「色温度」とは?──明かりの色を表す物差し

色温度とは、明かりの色味を数値(単位:K=ケルビン)で表したものです。数値が低いほどオレンジがかった暖かい光、高いほど青白い光になります。
住宅用の照明では、おおむね次の4つを覚えておけば十分です。
| 名称 | 色温度の目安 | 光の印象 | 身近な例 |
|---|---|---|---|
| 電球色 | 約2700K | オレンジがかった暖かい光 | 喫茶店、ろうそくの明かりに近い |
| 温白色 | 約3500K | 電球色と昼白色の中間 | 落ち着きと見やすさの両立 |
| 昼白色 | 約5000K | 自然な白い光 | 昼間の太陽光に近い |
| 昼光色 | 約6500K | 青みがかったシャープな光 | コンビニ、オフィス |
朝焼け・夕焼けの空がオレンジ色で、昼の空が白っぽいことを思い浮かべると、覚えやすいかもしれません。私たちの体は「オレンジの光=一日の終わり」「白い光=活動の時間」という自然のリズムに、長いあいだ寄り添って暮らしてきたと言われています。
明かりの色は、心と眠りにどう働く?
白く明るい光には頭をすっきりと目覚めさせる方向の働きが、暖かく控えめな光には気持ちを落ち着かせる方向の働きがある、と言われています。海外の研究でも、光の色や強さが人の気分や覚醒度に影響することが報告されています。
とくに知っておきたいのが、夜の光と眠りの関係です。就寝前に白く強い光を浴び続けると、眠りに向かう体の準備が遅れやすくなることが、睡眠の研究で指摘されています。「寝る前にスマホを見ると眠れなくなる」とよく言われるのも、これと同じ理屈です。
逆に言えば、夕食後の照明を電球色の控えめな明かりに切り替えるだけで、体が自然と「おやすみモード」に入りやすくなる、というわけです。間取りだけでなく明かりも、心の健康を育む住まいの大切な要素だと私たちは考えています。
部屋別・明かりの色の目安

部屋ごとに過ごし方が違うので、明かりの色も「その部屋で何をするか」から考えると選びやすくなります。あくまで一般的な目安として、部屋別に整理してみました。
| 部屋 | おすすめの目安 | 理由 |
|---|---|---|
| リビング | 電球色〜温白色(調光できると◎) | くつろぎの時間が中心。読み書きするなら手元照明で補う |
| ダイニング | 電球色 | 暖かい光は料理をおいしそうに見せると言われる |
| 寝室 | 電球色(明るさ控えめ) | 眠りへの切り替えを妨げにくい |
| 書斎・在宅ワーク | 昼白色 | 文字が読みやすく、頭が活動モードになりやすい |
| キッチン | 昼白色 | 食材の色や手元がはっきり見える |
| 洗面・メイクスペース | 昼白色 | 外出時の見え方に近い色で身支度できる |
| 子どもの学習スペース | 昼白色〜昼光色(手元照明) | 集中しやすいと言われる。ただし夜遅くは明るすぎに注意 |
寝室の明かりは、夫婦で心地よさの感覚が違うこともよくあります。「片方は真っ暗派、片方は少し明かりがほしい派」——そんなすれ違いも、間取りや照明計画で解決できることがあります。寝室は一緒?別々?の記事もあわせてどうぞ。
また、在宅ワークが多いご家庭では、仕事スペースだけ昼白色にして「ここは働く場所」と体に教えてあげると、オンとオフの切り替えがしやすくなると言われます。書斎の位置の考え方と組み合わせると、より効果を感じやすくなります。
一つの部屋で切り替えたいなら「調光・調色」という選択肢
「昼はダイニングで子どもが勉強、夜は夫婦で晩酌」——一つの部屋がいくつもの顔を持つのは、住まいではよくあることです。
そんなときに便利なのが、明るさを変えられる「調光」と、光の色を変えられる「調色」の機能です。最近のLED照明にはリモコン一つで両方できるものが多く、時間帯や過ごし方に合わせて部屋の雰囲気を切り替えられます。
もう一つの考え方が、天井の照明一つに頼らず、フロアランプやテーブルランプを組み合わせる「一室多灯」です。夜はメインの明かりを消して低い位置の電球色だけにする——それだけで、同じリビングがぐっと落ち着いた表情になります。
新築やリフォームの計画段階なら、コンセントの位置や壁のスイッチまで含めて明かりの計画を立てられるので、選択肢はさらに広がります。
でも、いちばん大切なのは「どう過ごしたいか」
ここまで明かりの色の傾向をご紹介してきましたが、私たちが何より大事にしているのは、数値やルール通りに照明を選ぶことではありません。
夜のリビングで、家族とどんな時間を過ごしたいか。朝は、どんな気分で一日を始めたいか。同じ「電球色」でも、暮らし方によって心地よい明るさや配置は変わってきます。
カタログの品番から選ぶのではなく、まず暮らし方をうかがってから一緒に考える——間取りも、色も、明かりも、私たちはこの順番を大切にしています。
よくあるご質問
Q. 寝室の照明は何色がいいですか?
A. 明るさ控えめの電球色が向くと言われています。眠る前の時間を過ごす場所なので、白く強い光は避け、必要なら枕元に小さな手元照明を足すのがおすすめです。
Q. 子どもの勉強部屋は電球色だとダメですか?
A. ダメということはありませんが、文字の読みやすさや集中のしやすさでは昼白色〜昼光色が向くと言われます。部屋全体は落ち着いた色にして、机の手元照明だけ白い光にする方法もあります。
Q. 電球色と昼白色、一つの部屋で両方使いたいときは?
A. 「調色」機能つきのLED照明なら、リモコンで光の色を切り替えられます。時間帯で使い分けたいリビングやダイニングに特に向いています。
Q. 今の住まいでも手軽に変えられますか?
A. 変えられます。電球をLEDの電球色に交換する、フロアランプを一つ足す——それだけでも夜の部屋の印象は大きく変わります。工事の要らないところから試してみるのもおすすめです。
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参考文献
本記事でふれた「光の色と気分・覚醒」「夜の光と眠り」などは、以下の研究を参考にしています。
- Küller, R., Ballal, S., Laike, T., Mikellides, B., & Tonello, G. (2006). The impact of light and colour on psychological mood. Ergonomics, 49(14), 1496–1507.
- Cajochen, C. (2007). Alerting effects of light. Sleep Medicine Reviews, 11(6), 453–464.
- Chang, A.-M., Aeschbach, D., Duffy, J. F., & Czeisler, C. A. (2015). Evening use of light-emitting eReaders negatively affects sleep, circadian timing, and next-morning alertness. PNAS, 112(4), 1232–1237.
- Kruithof, A. A. (1941). Tubular luminescence lamps for general illumination. Philips Technical Review, 6, 65–96.
※ 光の感じ方には個人差があり、上記は傾向を示す研究です。実際の照明選びは、部屋の広さ・内装の色・器具の配置によっても変わる点をふまえてご検討ください。
「色彩・光と心理」シリーズ
本記事は、住まいの色と光が心と暮らしに与える影響をお伝えするシリーズの第2回です。第1回では「部屋を広く見せる色」を取り上げました。今後、寝室の色/リビングの色などのテーマを順に公開予定です。